【晴】<やっぱりF1は面白い!>

前日に録画した、F1最終戦ブラジルの予選ラウンドをHDD観戦。
TQ(予選1位)はマッサ、2位ハミルトン、3位ライコネン、4位アロンソ
そしてそのまま、本戦を生観戦。
衛星通信エラーと、現地TV局スタッフの「なんじゃこりゃスイッチング」で見づらい部分もあったけど……なにせ超!感動!!!!!!
スタート前の時点で、年間ランキング1位は新人のハミルトン(107pts.)2位アロンソ(103pts.)3位ライコネン(100pts.)と激しく接近。
ハミルトンは2位までに入れば、優勝確実。
アロンソはまず優勝ありきで、ハミルトンが3位以下でチャンプ。
ライコネンは最低でも2位、しかもハミルトンが1ポイント(8位)くらいまで下がってくれてなんとかチャンプ。
といった状態。
スタッフのざわめきと、歓声が支配していたスタート前のグリット。
一台、また一台とエンジンに火が入る。
フォーメーションラップ・・・
22位の山本左近がグリット最後尾にマシンを着ける。
レッドランプ・・・エキゾーストが支配しているはずのその空間は、まるで荘厳な教会のような音のない世界に見えた。
ブラックアウト。
陽炎たちを追いかけるように近代科学の粋を集めたF1マシンたちが動き出す。
ドラマはいきなりやってきた。
好スタートを切ったマッサが2位のハミルトンを綺麗にブロック。
その横にチームメイトのライコネンが鼻面を押し込む。
そしてマッサ1位ライコネンはハミルトンをかわして2位という最高の形で1コーナーに滑り込んで行く。
ハミルトンのインには4位のアロンソ
突っ込みすぎて大きく膨らむハミルトン!!!
精密な機械のようにマシンを走らせ、年間ランキング1位を独占していた新人に「F1」という重圧が重く、重く、のしかかる。
焦燥、緊張、後悔、そしてチャンピオンという重圧。
ハミルトンを狂わせる要素は充分だったと思う。
シフトミス。
一瞬ローギアを失い減速するマシン。
有利なはずのポイントリーダーが最下位という奈落の底に堕ちていく。
その間、フェラーリの2台はジリジリとアロンソから距離を空けていく。
ギアが戻り懸命のプッシュで大きく順位を回復していくハミルトン。
1位マッサ、2位ライコネン
どうしても1位の10pts.が欲しいライコネン
このままでゴールするとアロンソが年間チャンプになってしまう。
チームオーダー(チーム内での順位を決める作戦)は禁止されているF1の世界。
コース上で、このレースの中で、純然たる速さを見せてチームメイトのマッサの前に出るしかない。
1回目のピットストップ。
マッサが先に入り、後からのライコネン
差を微妙に縮めたが、ピット出口でわずかな操作ミス。
先に1コーナーを駆け抜けたのはマッサ。
そして2回目のピット。
マッサピットインの後のほんの数周。
ライコネン執念の走り。
北欧の赤い狼が、「最速」と言われながらもチャンピオンに手の届かなかった男が「勝ちたい」と言う気迫をばらまきながらベストラップを更新して行く。
自分の誕生日に「どうしても一つだけ欲しいモノがある」と言っていたライコネン
そのどうしても手に入れたい"モノ"を、まるで火の粉を散らす焔のような気迫で追いかける。
ーーーーーー逆転。
後方では5位に入れば年間チャンプとなるハミルトン。
そしてどうしても2位が必要なアロンソが足掻きながらも迫ってくる。
1年間のドラマが交錯する。
流れる1分がいったいドライバーには何時間に感じるのだろう。
長い長いファイナルラップ
チェッカーを最初に受けたのはライコネン
そしてマッサが続く。
この瞬間、大きな大きなマージンを見事にひっくり返し、歴史的逆転を演じて新チャンピオンが誕生した。
2台並んでウィニングランをする真っ赤なフェラーリのマシン。
こんな結末をだれが予想出来ただろう。
こんなにも熱い男が、男達が、まだ世界にはたくさんいるのだ。
F1なんて「派手な自動車に乗って、ただコースをグルグル回るだけ」なのに。
なんて感動的で、なんて素晴らしい、なんて刺激に溢れた世界なんだろう。
それは人が作り、人が走らせるからだと思う。
誰しもが「勝ちたい」と思い、人生をかけて挑んでいるからだと思う。
最高のプレゼントを自らと、仲間達の力でつかみ取ったライコネン
彼が飲んだ勝利の美酒はいったいどんな味だったのだろう。